ベネチア・ビエンナーレの金獅子賞はフランス・パビリオンへ |
ベネチアで開催されている第51回ビエンナーレ現代美術展で、造形作家アネット・メサジェの作品を展示するフランス・パビリオンが金獅子賞を受賞した。
1943年生まれのメサジェは、奇怪な生き物や動物のぬいぐるみを使ったユニークな作品で世界中に知られるアーチスト。 《カジノ》と題した今回の作品は、コロッディ作の「ピノキオ物語」からインスピレーションを得た3つの部屋で構成される。 それぞれに人形のピノキオ、人間の臓物、この世に生れ落ちようとする胎児の不安を思わせる血の赤の布、不気味な子供部屋のオブジェなどを配し、子供の世界と恐怖と苦しみが入り乱れる不思議な空間を体現。 人間になりたいと切望するあやつり人形のピノキオに、「取りつくろった偽りの自分」(メサジェ)であることに悩む現代人の姿を重ね合わせたという。 《カジノ》という享楽的なタイトルには、「実は悪い子だったからこそ、念願かなって人間になれた」という作者独自のピノキオ観が込められている。 ビエンナーレの審査委員会は、ピノキオの世界を思いのままに表現したメサジェの「創造的なイマジネーション」を高く評価。 同展を訪れていたフランスのドヌデュー・ド・ヴァーブル文化相も、「ピノキオ物語の驚くべき解釈を通じて人間とは何かを残酷なまでに激しく問いただし、圧倒的な力強さで見る者の心を揺さぶる素晴らしい作品」と絶賛した。 ベネチア・ビエンナーレは、世界最大規模の現代美術展の一つ。 今回は70の各国パピリオンと2つのメイン会場で総勢91名のアーチストの作品を展示しており、一般公開は6月12日から11月5日まで。 (Presse “Le Monde” 10.06.2005) |
ほかに、国際企画展の個人部門はドイツのトーマス・シュッテ氏に、35才未満の個人部門はグアテマラのレヒナ・ホセ・ガリンド氏が選ばれた。 生涯業績部門は、米国の女性美術家バーバラ・クルーガーさんが獲得した。 日本館では写真家石内都さんが母の遺品を撮った写真や映像を展示た「mother's」は多くの人々の心を揺さぶった。 国際企画展部門に森万里子さんが神秘的な視覚体験をする大型インスタレーションを出品した。 (ベネチア10日) |
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